IETFとISOCの相互関係

Network Working Group                                         E. Huizer
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Category: Informational                                    October 1996

メモの状態

インターネットコミュニティへの情報提供のためのメモである(*1)(*2)。インターネット標準の特定を意図していない。配布は、無制限である(*3)。

概要

Poisedワーキンググループ(*4)で討議されてきたIETFとISOCの関係についての課題を要約するものである(*5)。本文書の目的は、その点についてのコンセンサスがいかほどのものかを、計るためにある。そして、さらに、必要な討議をすすめることにある。

はじめに

インターネット技術タスクフォース(IETF)は、インターネット標準の発展と維持に責任を持つ組織体である。伝統的に、IETFは、ボランティア組織である。それが担うべき仕事は世界の優秀なエンジニアによって 支えられている。ワーキンググループの構成にもとづき意見と経験を交換し、討論(e-mailと実際に互いに会うことによって)を通じて、ラフコンセンサスを形成しようとするのだ。エンジニアたちは、それに基づいてテストを行うためにコードを書き、インターネット標準に持っていく。

インターネット the Internet の成長は、IETFの成長をもたらした。インターネット標準に依拠する人々、組織、会社の数は多くなった。参加者の数に伴い、IETFの責任が増し、手続きはどんどん増えていった。法律的な事柄や外部との折衝・連携など技術とは関係のない案件は、IETFの組織活動にとって望ましいものではなかった。しかし、不可欠のものとなっていた。この課題に応えるために、Poised95ワーキンググループが作られた。ワーキンググループは、それらの手続きを構造付け、文書化する作業を試みている。作業はIETFのエンジニアたちが、最大限柔軟に、自由に振舞えるために行われている。そしてIETF自身が、「ラフコンセンサス、動くコードを」という、栄誉ある最大の成功仕事を、今後も引き続きおこなえるようにするために、行われているのである。


Poisedワーキンググループの活動によって行われ、合意した勧告の一つは、他の関係機関に、技術的ではない、移管してもいいとかんがえられるすべての事柄を移すということであった。

Huizer                       Informational                      [Page 1]
RFC 2031                 IETF-ISOC Relationship             October 1996

Poisedワーキンググループは、インターネット協会(ISOC)が、その仕事を行うにふさわしいと考えている。1995年12月ダラスで行われたIETFの公開ミーティングにおいて行われた意見調査のための非公式投票 straw poll は、右の考えを支持した。

しかしこの点は、全体としてIETFの機能に密接にかかわるので、(ラフコンセンサスというよりは)広くコンセンサスがあるかどうかを計る gauge ことが必要である。またIETF-ISOC関係の拡大について、責任範囲を確定しなければならない。(そのような観点から)IETFの参加者とISOC理事会の両者が、責任範囲に関する、明確な構図を描くことが必要である。

IETF-ISOC関係についてのPoisedワーキンググループ勧告の詳細は、現在進行中のaPoised諸文書シリーズの中の適切な場所に見いだすことができる。

  • IETF標準化過程(*6)
  • IETFの組織構造(*7)
  • IETF憲章
  • メンバー指名Nomcom(*8)手続き
  • 不服申し立て手続き Appeals procedure(*9)

上の合意を得るために、本文書はPoisedワーキンググループ勧告を要約する。公式の文書ステータスをもってはいない。それを得ることも意図していない。ワーキンググループの近々できあがってくるだろう作業中文書は、公的文書となるだろう。詳細について興味をもつ読者は、ワーキンググループの作業文書を参照されたい。

両者の主要な役割範囲 Main boundary condition

IETFは、インターネット標準の発展とその質についての責任をもつ。

ISOCは、以下に記すような法的、組織的課題を円滑にすすめ、IETFを援助するだろう。

そのような役割をのぞき、インターネット標準化過程・インターネット標準・技術内容への影響をISOCが持たないことを、IETF-ISOCは理解し合っている。

ISOCの法的、組織的課題は、次の点である。IETFにおいて、メンバー候補選出プロセスを通じてIABとIESGが形成される必要があることneeded(*10)。

その過程が、IETFのコミュニティに受け入れられるものであること。IETF参加者が皆、IAB/IESGで、ある位置を代表できるチャンスを平等に与えられるものであること。

他方、ISOCにおいて、ISOC理事会がISOCの個々の会員によって選出されなければならない(should)。すべての会員は等しく一票をもち、理事会のなかである位置を占めうる等しい機会をもっていること。

Huizer                       Informational                      [Page 2]
RFC 2031                 IETF-ISOC Relationship             October 1996

IETFのインターネット、インターネットの技術的仕事に対し、ISOCの影響力が変わるような方針・規則策定が必要な時、ISOCは、公的討議プロセスを経て合意を得ることになるだろう。インターネット標準・技術的案件・運用に関し、IETFがインターネット草案公表過程を通じ討議を行うための仕事をISOCはすすめることになろう。

法的な傘

標準と標準化過程を保護するために、IETFが法的構成を持つ必要が出てくる事態を避けるために、ISOCは法的な傘 a legal umbrella を、IETFにたいして提供しなければならないだろう。

  • 全IETF「幹部」(IAB,IESG,Nomcom,ワーキングループ議長)にたいする、法的保証
  • RFC文書シリーズの法的保護:(金銭的、あるいはその他の制限がなく)自由に配布され、複写され、しかし、変更されえず、誤用されえないこと。文書変更権は、IETFに依存していること
  • インターネット標準あるいはその一部に対しておこりえる、知的所有権に関する法的保護

標準化過程の役割

ISOCは標準化過程を、サポートするだろう。

  • NomCom議長指名
  • IABメンバー承認
  • (この公的Poised文書のような)標準化過程について書かれている文書をレビューし承認する
  • 種々の不服申し立て手続きにおける最後の逃げ場 resort として行動する

セキュリティに関する考察

ISOCを、標準化過程の、特定の部分に関与させることによって、IETFはもはや、絶対的なコントロール権威をもたなくなる。これは、セキュリティ上の破綻という風に言いうることができる。したがって、次の点を確認する必要がある。ISOCの関与は、良好に定義され、理解しうる特定の条件のもとで、良好に定義され、理解しうる部分にのみ限定されること。Poisedワーキンググループは、それらの点を定義しようと試みており、それらは、この文書の中で要約されている。

3つの、選択方向がある。

  • なにもしないで、ISOCの増加する責任と、その成長を無視すること。これは、IETFの役割意義がなくなっていくか、合州国の法律的スーツを着飾って窒息することである。

  • IETFが、自分自身で、すべてを行う。IETFのコントロール権威を、従来通り維持すること。しかし、これはIETFがいままで行ってきた技術的仕事から、IETFを甚だしく遠ざけることになる。
  • IETFは、上に述べた役割を担うISOC以外の組織を探すこと。しかし、ISOC以上のものの組織があるだろうか?。

Huizer                       Informational                      [Page 3]
RFC 2031                 IETF-ISOC Relationship             October 1996

それぞれ、ある種のリスクがあり、そのリスクは、不可避であるように見える。

他方、ISOCと関係を持つことは、上述したような役割限定・区分条件のもとで、リスクよりも、IETFにとっての一つの好機でもあるかのように、見えるのだ。

覚えおよび免責条項

本著者は、Poised 95ワーキンググループの議長である。ワーキンググループでのe-mailとオフラインでの直接の討論の中身を要約しようと試みた。本文書に見られる優れた考えはすべて、ワーキンググループの仕事に拠っている。誤認は、おそらく著者自身が、アメリカの法律制度の素養に欠けていることと、米語 American language の素養に欠けていることによっている(*11)。

著者は、インターネット協会の一メンバーである。

著者

Erik Huizer
SURFnet ExpertiseCentrum bv
P.O. Box 19115
3501 DC  Utrecht
The Netherlands
Tel: +31 302 305 305
Fax: +31 302 305 329
E-mail: Erik.Huizer@sec.nl

Huizer Informational [Page 4]

*1: translator akira yoshii,初出20031103

*2: 原文http://www.rfc-editor.org/info/rfc2031,"IETF-ISOC relationship",October 1996、以下の注はすべて訳者注である。

*3: 著者のHuizerは、当時のPoisedWGのチェアの一人:http://www.networksorcery.com/enp/authors/HuizerErik.htmによる著者紹介を見よ

*4: 1995年第35回IETFミーティング(ロスアンジェルス)でチャータが成文化されたPoised95と呼ばれるWG。http://www.ietf.org/proceedings/96mar/charters/poised95-charter.html

*5: なお、Vint Cerfによる1995年当時のISOCに関する次の記事がある。Vint Cerf,IETF and ISOC ,1995/7

*6: BCP9:[ftp://ftp.isi.edu/in-notes/bcp/bcp9.txt],The Internet Standards Process -- Revision 3:RFC1310(1992年),RFC1602(1994年)、ときて、現行のBCP9は、Poised95の活動結果としてRFC2031と同じ年月に公表されたRFC2026

*7: BCP11:[ftp://ftp.isi.edu/in-notes/bcp/bcp11.txt],The Organizations Involved in the IETF Standards Process,RFC2031と同じ年月に公表された

*8: BCP10:[ftp://ftp.isi.edu/in-notes/bcp/bcp10.txt],IAB and IESG Selection, Confirmation, and Recall Process: Operation of the Nominating and Recall Committees:最初の版は、このRFC2031と同じ年月にRFC2027として公表されている

*9: 一般的には米行政法における申し立て手続きをさすが、IETFの標準化過程における係争問題手続きとしては、現行BCP9の6.5に記述されている。

*10: あくまでこれは、ISOCの組織問題であることに留意。IAB/IESGが、ISOC内組織であり、その組織に対して候補選出プロセスを媒介にしてIETFが影響力を行使できる、という文脈で話しが組み立てられている

*11: ここの記述にあるように、本文書の米語は、かなりブロークンであるように思われるが、訳者の英語能力では、それを的確に説明できない

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